TIMEDOMAIN
CHINESE FRENCH GERMAN ENGLISH JAPANESE
PRODUCTS EVENTS TECHNOLOGY SUPPORT CORPORATE LISTENING NOTES DOCUMENTS
由井啓之「音響工学」講義録   060702更新


 Q「それ(light)って低音はどのくらいでますか?」
 それはこれからの話でね、低音いうのは関係ないんです。まあちょうどいいとっかかりですから、その辺から話させていただきますと、
よくお客さんが来られて、低音聴かせてください、て言われるんですけどね、低音何ヘルツ聴かせましょうか、なんて言うんですけどね、低音というのはもともと音楽の中にないですね、コントラバスがあるけれども、低音楽器ていうのはあるけれども、低音というものはないわけですよね。
 それは、なんでそんなことを言うかというと、皆さん音響工学を習ってこられて、もう最初からfドメインなんですよね、fドメインで大体オーディオのスピーカーとかアンプを設計している人達は、20Hzから20kHzまでサインウェーブがきれいに再生できれば(直線歪)それでいいシステムなんだと思っているんですね。
 あと、それぞれの周波数に対して、高調波歪が少なければ(非直線歪)、これはあの、こういうことを目標にスピーカーやアンプを開発されているんですね、これはナンセンスだと思うんですよ。オーディオマニアの方はこれで凝り固まっておられますから。


( 四万十川この辺からピアノが流れはじめる)


周波数特性がフラットだったら何で元の音になるんですかと聞くと、的確な答えというのは返ってこないと思うんですよ多分。
これから出てくる音というのは(HBの図ウーハーを示して)ウーファーというのは、まぁ他もそうなんですが、振動板の重量と箱の空気のバネのコンポライアンスとですね、これで共振させてf0(エフゼロ=共振周波数)というのになるわけですね。これがそうですね。これは共振特性ですから、当然Qを持ってるわけです。

で、共振系でここへ正弦波を入れてやると、正弦波が出てきますね。20Hz入れたら20Hz出てくるわけですけど、でも、(ホワイトボードを叩く)こういう音を入れた時に、この波形の通り動きますか?
動かないですね。20Hzは発信器でずっと入れていると動くわけで、発信器のスイッチを入れたときから言いますと、信号が入ってきても少しの間、デルタT遅れてから動き始めます。

(この辺からアウ゛ェ・マリアが流れはじめる)

あと、共振が立ち上がります。あと、そして発信器を止めてもまだ動いてますね。だから正弦波を入れたときに、こういうレスポンスはあるけど、実際の信号を入れたときにはレスポンスしないです。
何も関係ない、元の信号の中に80Hzに近い信号が入ってくると、ボーンボーンと言っているだけで、それは元の音じゃないわけですね。そういう成分の音を共振させてるだけですから。

ですから、音楽をされている方だと、低音楽器の再生はめちゃめちゃだから、オーディオでは聴かれないです。
我々のシステムを真っ先に買ってくださったのは、ジャズのベーシストであり、オーケストラのコントラバスを弾いている人たちなんですね。
で、この人達はこう弓でダダダダっと刻んで弾いてもズルズル連がって聞こえると、どんな弾き方しても同じようにボンボンしかいってない。おまけに音程さえ分からないと。半音違いましても、半音違うのが分からないわけです。半音の違いは共振の中に引き込まれますから出てこないです。
ですから、演奏を聞いて、そこから「オタマジャクシ」を拾い出そうとしても拾い出せないです。タイムドメインのは正確に拾えます。半音の違いでも、四分の一音の違いでもすぐ分かります。
だから、今までのオーディオシステムというのは、元の音は絶対出ないんですね、ただそれらしい音、それがオーディオの音だったんですね。


オーディオの音の特徴というのは、低域が何を入れてもボンボン言っていると。ああいうボンボンする音はどこ探しても無いんですね。スピーカーからしか出ないんです。それから、高域も過渡特性が大変悪いですから、喋っているとサ行が強調されますね。ボーカルが皆シュシュシュシュ言います。
そういう楽器は皆鋭く聞こえてうるさいと。しかも共振していますから分解能が大変下がってしまいます。だからストリングスもめちゃめちゃに聞こえますし、コーラスなんかでもぐちゃぐちゃに聞こえるわけです。
でもそれはオーディオの音なんです。それはそれで良いんですけどね。

我々は、私自身は長年これやっとって嫌なんで、自然な音を出せないものかと。そして、fドメインを徹底的にやったんですね。もう何年もこればっかりやっとったんです。考えれば考えるほどおかしいんでですね。
それで、おかしいなおかしいな思いながら、理論的研究とか、実験もしてみたんですけどね。どうもおかしいというので、その内、fで考えるのはおかしいのではないかということがふっと気がついて、そのように考えればほとんど全部が間違い、というか勘違いでですね。
じゃあどうしたら良いかというと、タイムドメイン理論だったんですよ。(波形を描きながら)こういう信号ですね、マイクロフォンで拾った信号というのは。
これは数式で表すときに、t の関数でしか表せないんですね。で、これがωt(オメガティー)で表せれば、この周波数に変えられるわけですよ。
これは t でも ωt でも表せられるから、これ、何ヘルツの正弦波があると言えるんですけど、他のこんな信号はωt で表しようがないわけですね。だから、それにωt 、周波数 f と t は直交変換ですから、だからそれをこんなところに持ってくるのはそもそもおかしい。実際おかしい話は後でしますね。

←もどる つづき→

 Copyright(c)2000-2006.TIMEDOMAIN Corporation