2000.11.26
浮安那のしらべ
「音の質」が際立ちました−スタッフのことば
秋の抜けるような青空の下、大中公園で「浮安那のしらべ」が開催されました。大中公園は両側を川で囲まれた中州になっており、会場はその一部で全体に芝生が敷きつめられたのんびりとした雰囲気のところでした。
会場の広さは横30m、奥行き50m程で壁や塀などもなく、池の上に作られた浮御堂の能舞台の前面と両サイドに儲けられた、ベンチ代わりの階段から誰でも自由に見ることができました。
3時間の長丁場(演目は8つ)でしたが、金春流の演能の時には100人以上のお客さんがおられたようです。
音響器材はすべての演目(ただし金春流の演能は音響器材なし)でタイムドメインのシステムを使用しました。スピーカーはYoshii9よりもひとまわり大きな12cm径のパイプを使用したものが1組(2本)、エンジン(アンプ)はYoshii9のものを使用しました。マイクは2本。1本は浮御堂の舞台に、もう1本は司会者用に観客席側にセットしました。また、スピーカーは浮御堂の正面に左右の距離5mで配置されました。
ただ、演目によってはカセットテープを使用された方もおられ、タイムドメインでカセットデッキを用意していなかったため、主催者にカセットレコーダをお借りする、というハプニングもありました。野外演奏だったので、遠くの方でチェックしましたが、カセットテープに入った音は何だか近くで聴くよりも聴きにくく感じることがありました。
ところがCDの音やマイクを通した声などでは、いちばん後ろの席で「もうちょっと大きい声でしゃべってほしいな」とで思うほどの音(実際は自然に聞こえるようにタイムドメインスタッフによって調整されたスピーカーからの声ですが)が、そのままの大きさの音で公園の一番端まで届いていました。つまり、音がほとんど減衰していないということになります。これには驚きました。
野外なので、壁からの反響などがいっさいない条件での、タイムドメインの機材に増幅されただけのスピーカからの音は、まったく自然でした。出てくる声は肉声に近く、また器材の移動も容易なため、施設に来られていた業者の方が幾人かと会場に来られていたお客さんに興味をもっていただいたようでカタログの請求がありました。
改めて、「音」の奥深さを知ったようで、わたしにとっても、またタイムドメインにとっても非常に意味のある一日でした。
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