AV village11月号 体験リポート14
タイムドメイン・オーディオリアライザー・Yoshii9
一目惚れで買ってしまった「Yoshii9」との1問1答
村井裕弥
9月7日の東京デビュー(116頁参照)以来、各所でYoshii9に関する反響が飛び交っている(特にネット上が凄い!)。一目惚れ買いはもちろん、見ず転買いまで続出。かくいうボクも、7日に音を聴いて、即申込書にサインした一人だ。
ここ数日は、「アマティ」1:「Yoshii9」2くらいの割合で聴いている。世界中にスピーカーというものがこれ1種類しかなくてもいいと確信する。何より音離れの良さ。音色の自然さ。定位の素晴らしさ。(ええい!こんな言葉ではとても表せないぞ。もっとスペースがほしい)
しかし、これまでに出たライバル諸誌には、「なぜこんなにいい音が出るのか」という技術的な解説が一切載っていない。
以下は、ボクの質問メールとそれに対するタイムドメイン由井さんのお返事(お電話)である。
−−8センチ・ユニットは、フォステクスのFE83そんものなのか。
FE83に、当社が独自に手を加えたものです。オリジナルのフレームを取り外して、タイムドメイン・オリジナルのフレームに交換しました。一般にフレームは、マグネットを支えるためと、ボックス側面にとりつけるために不可欠なものですが、Yoshii9は、箱ではありませんし、ユニットが上向きですから、地球の引力に抗してマグネットを支える必要もない。よって、音質的に最も害のないフレームに交換できるのです。
−−ユニットをどのように支えているのか。
Yoshii9は、フレームがゲル状のものに載っかっています。よく言われる「理想は宙づり」そのままです。
しかし、宙に浮いている地球(大地アース)がしっかりしているように、ある程度の質量があれば、ものはどっしりしていられる。Yoshii9のマグネットには、棒状の長い重りが取り付けてありますが、これは、マグネットに対して十分な質量。これがヴァーチャルな大地(仮想グラウンド)となって、ユニットを安定させているんです。
−−筒の中は、どのような構造になっているのか。
ど真ん中にシャフト(棒状の重り)が通っています。そのシャフトに吸音材が巻き付けてあり、筒の内側にも吸音材が貼ってあります。
−−ユニット背面から出る音は、どのように処理されているのか。
中高域は、底に到るまでの間に、シャフト、筒内側両方の吸音材に吸い取られて消えてしまいます。
低域は底の穴から出てきますが、ユニットの径と筒の径が全く同じですから、ふつうのバスレフのように中で渦巻いたりしません。コーン紙の動きと、筒の中の空気が完全に一体化して動くんです。低音は、平面波として出てくるからとても自然ですし。
−−たったこれだけのサイズで、低音をしっかり出せるのはなぜ?
ふつうの箱は、ユニットを付けるとf0(エフゼロ)が上がるんです。筒はその逆で、ユニットを付けるとf0が下がる。コーン紙の動きと中の空気の動きが一体化しているメリットって、とても大きいんですよ。ヴァーチャルな大地(仮想グラウンド)の力も効いていますし。
−−付属専用アンプ(エンジン)の周波数特性は、フラットなのか。それても低域ブースとしてあるのか。
可聴帯域はもちろんのこと、その10倍、20倍先まで、ずうっとフラットなアンプです。
−−専用アンプは、ICアンプなのか。
ICアンプですが、ICの選択は回路方式じゃなくて、構造で選んでいます。
−−専用アンプを小型にした理由は?
すぐれたステレオ再生のためには、左右チャンネルの音を同一にすることが不可欠ですが、振動から温度その他に到るまですべて左右同一にしてやるには、できるだけ小さなケースの中に、小さな部品をギュッと詰め込んでやるしかないんです。
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